ABWに必要な”旅のマインドセット”

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ABWに必要な旅のマインドセット

岸田 祥子 |シニアワークスタイルコンサルタント

アクティビティ・ベースド・ワーキングの考え方を日本語で説明する上で、いつも翻訳に困る単語がある。それが”Journey”直訳すると”旅”だ。

弊社では頻出単語である。この単語をどう使っているのか、あえて直訳するとこのような具合になる。

 

“We will support your journey to a New Way of Working”

“私たちはあなたの新しい働き方に向けたをサポートします。”

“They have realized that in the transitional journey to ABW it is required not only a change in the physical environment but also in the behavioural change of their employees to adapt to the new ways of working.”

“彼らはABWに向けた変革のには物理的な環境の変化だけでなく、新しい働き方を受け入れるための行動変容が必要であると気づいたのだった。”

 

訳してみても、日本語としてあまりしっくりこない。「ジャーニー」とそのまま使えば良い気もするが、それでもピンとこない。マーケティング用語に「カスタマージャーニー」というカタカナ単語があるが、言葉の意味としてはこれが近しい気もする。だが、私はたいていの場合、ビジネス日本語でよく出てくる「プロセス」もしくは「過程」と翻訳してしまうことが多い。「ABWに向けたジャーニー」と訳したところで、おそらく意味が伝わらない。とにかく訳しづらい。

この”journey”という単語がなぜ Veldhoen+Companyではこうもよく使われるのか。

長らくの疑問を解決してくれるリサーチを見つけた。

It’s the journey, not the destination: How metaphor drives growth after goal attainment.

By Huang, Szu-Chi,Aaker, Jennifer

 

スタンフォード大学のHuang Szu-Chi氏,Aaker Jennifer氏による、目標達成後の成長や継続にはどのような考え方(メタファー)が有効なのかという研究である。「目標達成後の成長」とは、例えば、一時的にダイエットやウォーキングなどのプログラムに参加し、そのプログラムの終了後も自分自身で同様の行動を継続できるかどうか、ということを意味している。

彼らは1,600人を対象にした調査から、「旅のマインドセット(Journy Mindset)」を与えた人の方が「目的地に到着したというマインドセット(Distination Mindset)」を与えた人よりも目標に沿った行動を継続する可能性が高いという結果を得た。つまり人々のメタファーの焦点を変えること(すなわち、完了した経路の目的地部分ではなく旅路に焦点を当てること)が、結果的に異なる認識と行動につながることが実証された、としている。

つまり、「途中の目標の達成(Distination:目的地)」に焦点を置くのではなく、「今していることは、さらに大きな(もしくはより良い)目標や目的のための過程(journey:旅)だ」というマインドセットが、さらなる成長や成果に繋がるということだとも言える。(注意:研究では「個人の幸福」を大きな目標としているので、ビジネス(組織)にもこれが完全に当てはまるかは確かではない)

私たちが提唱しているActivity Based Workingの成功には、まさにこの「旅のマインドセット」が必要不可欠だ。なぜなら「働き方」という行動を変えるということは明確な「終わり」がない、まさに旅のようなものだからである。もちろん私たちがお客様に提供するサービスの期間や範囲には契約に基づく終わりがある。しかし、私たちのサービス、先ほどの研究でいう「プログラム」が終わった後も、お客様自身で同様の行動を継続する必要がある。先ほどの引用文にもあるように「ABWに向けた変革の旅には物理的な環境の変化だけでなく、新しい働き方を受け入れるための行動変容が必要」だからだ。行動を変える上で、私たちのサービスはトリガーに過ぎない。プログラムが終わった後もActivity Based Workingを定着させるため長い旅が必要になる。そして、自ら旅を継続するには「今自分たちがしていることはより大きな目的のための過程だ。」という旅のマインドセットを持つことが有効だ。

だからVeldhoen + Companyでは”Journey”という単語が多用されるのか、と私は納得したのだった。

しかし一方で、ビジネスには明確な「完了」や「目標」が必要である。これがなければ「契約の範囲」が明確にならない。例えば、Activity Based Working の実現に必要な要素である空間やITインフラなどを取り出してみれば、変化の完了がある。簡単に言えば工事が終われば完了である。ビジネスは「明確な目的」(契約や目標など)がないと成立しない。だからこそ、”Journey”という「明確な終わりのないもの」に対する訳が見つけられないし、ビジネスの文脈では不自然な日本語だと感じてしまうのである。(個人の能力の問題も多分にある)

 

私たちは得てして「わかりやすく・短期的な目的」な目的地マインドセットに偏重しがちである。また同時に、他者が自分を含めた何かを変えてくれることに期待している。しかしながら、変化を体感するためには、自分自身がプログラムに参加し、その内容を自ら継続していくことが欠かせない。より大きな目標を見据えた旅のマインドセットを意識したい。

結局、”journey”の対訳は見つからないままだが、諦めずに旅を継続しようと思う。よい対訳を思いついた方がいればぜひ教えてください。

 

参考

https://psycnet.apa.org/buy/2019-34220-001

https://www.sciencealert.com/a-journey-mindset-can-help-us-get-through-this-pandemic-here-s-what-that-means

https://gigazine.net/news/20200810-journey-mindset-in-pandemic/

岸田 祥子 |シニアワークスタイルコンサルタント

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