ABWの業界動向と成功プロジェクトの共通点 | インタビュー

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ABWの業界動向と成功プロジェクトの共通点 | DFocus社インタビュー

コロナ前後でアクティビティ・ベースド・ワーキングはどう捉えられているか

DFocus社による弊社アジア太平洋 (APAC) 地域のマネージングパートナー、Iolanda MeehanへのZoomインタビューの内容をお届けします。

DFocus:ここ数年、アクティビティ・ベースド・ワーキングは中国で多くの注目集めています。アクティビティ・ベースド・ワーキングのコンサルタントの先駆者として、企業はABW環境を導入する際にどのような点に重点を置いているのでしょうか?

Iolanda:アクティビティ・ベースド・ワーキングの専門家として、私たちが企業と仕事をするときはいつも、新しい働き方の導入を念頭に置いています。

アクティビティ・ベースド・ワーキングの考え方は「Why」から始まります。なぜ働き方を変えたいのか?アクティビティ・ベースド・ワーキングの本質は、「人々は信頼され、権限を与えられ、時間や場所に左右されずに働くことができるように整った環境が用意されるべきである」という理念を推進することにあります。

もちろん、そこに至る過程で物理的環境、デジタル、そして行動への影響があります。そのため、私たちが組織改革を始める際には、自身の働き方を変えたいと思う理由をクライアント自身にまず納得・理解してもらうことに主眼を置いています。

そして「理由」が明確になり、ビジネス戦略と沿ったものになった時にはじめて、彼らの仕事のあり方やワークプレイスを支える最適な戦略を提案します。アクティビティ・ベースド・ワーキングのコンセプトはヨーロッパで始まり、約30年前の歴史があります。過去5〜6年間で、アジアを拠点とする企業、特に中国の企業からの関心が大幅に高まっています。

DFocus:Veldhoen + Companyは、世界中で何百ものプロジェクトを実施してきました。アクティビティ・ベースド・ワーキングの主要なターゲットとなるのはどのような業界でしょうか?

Iolanda:私たちは、過去30年で世界中約600の様々なプロジェクトを行ってきました。私は、特定の業界が他の業界よりもアクティビティ・ベースド・ワーキングに適しているとは考えていません。実際に様々な業界の組織・企業と仕事をしてきた経験があるからこそ、リーダーたちに会ったとき、従業員への配慮や才能、従業員に与えている自主性のレベルなどの点で、私たちの価値を示すことができています。

10〜12年ほど前、銀行や保険会社などの金融サービス業界でアクティビティ・ベースド・ワークが大幅に普及しました。それは単純に業界の流行だったからではなく、人材獲得の面で激しい競争に直面していたからです。そこで、働き方を変え、提供する環境を変え、従業員に高い自律性を与えることが、人材を惹き付ける方法となったのです。

ここ5〜6年間は、製薬会社や医療機器メーカーが興味を示しているのを目にします。他の業界と比較してこれらの業界とアクティビティ・ベースド・ワーキングの関連性が特別高いわけではないのですが、製薬業界や医療機器メーカーは、ハイテク企業と優秀な人材をめぐって競争を始めたため、こちらも人材競争に直面していたことが背景にあります。より多くの製薬会社が、適切な人材を惹き付け、離職率を減らし、より多くのイノベーションを推進するために、アクティビティ・ベースド・ワーキングを採用し始めました。

実際、私たちが携わってきた大手製薬会社の中には、アクティビティベースの考え方を総合的に取り入れているところもあり、分散型のチーム構成、従業員への権限の付与(エンパワーメント)、信頼の構築といったアクティビティ・ベースド・ワーキングの理念に基づいて、組織や文化を大きく変えようとしているところもあります。

私たちは、政府機関、病院、市議会とも仕事をしています。ですから、アクティビティ・ベースド・ワーキングに適した業界が特別あるとは言えません。なぜかと言うと、単純にすべての企業に活用できる1つの公式などないからです。アクティビティ・ベースド・ワーキングの公式は、各組織に非常に特化したものなのです。

DFocus:アクティビティ・ベースド・ワーキングのメリットといえば、企業がABWへの移行を進める大きな動機の1つに、企業不動産(CRE)のコスト削減があります。最近のABWプロジェクトで達成された大きなコスト削減はありますか?

Iolanda:非常に重要なポイントを指摘されたと思います。

多くの企業は当初、アクティビティ・ベースド・ワーキングは単にスペースを節約することだと考えていました。実際、弊社の多くのクライアントは、アクティビティベースの原則に基づいて設計されたスペースを構築することで、20〜25%以上の不動産コストの削減を達成しています。

しかし、コスト削減のためだけにアクティビティベースドワーキングを選択するのであれば、それは最も抵抗の少ない道を選んでいるわけではないと言えるでしょう。コスト節約を取るなら、従来のオープンプランのワークプレイス戦略を導入する(そして小さなデスクを与える)か、または従業員に多くのデスクを共有させるホットデスクアプローチを取り入れる方が簡単だからです。

本当の意味でのアクティビティ・ベースド・ワーキングを組織で実現することは非常に複雑です。それには、行動の変化と考え方の変化の両方を必要とするからです。変革というのは、単に改装してたくさんの作業環境を配置用意することではなく、実際にアクティビティベースドの働き方を理解し、意識し、実行しなくてはなりません。ここまでくると、企業は組織として何を優先すべきかを考える必要がでてきます。

コラボレーションを重視するのか。集中する時間を重視するのか。創造的なブレインストーミングの活動を重視するのか?またはこれらすべてを大切にするのか?私たちは、組織が真に価値を感じるもののために、企業のシステム、プロセス、ポリシー、およびワークプレイスを設計する必要があるのです。

そしてそれは、従業員やスタッフが自身の働く時間と場所について選択できる自由と権限を与えられるところから始まります。さらに、最適な結果を得るために、さまざまなツールを使用したり、別の仕事環境を選べることも重要です。

コストを削減したいと私たちに相談を持ち掛けてきてくださった企業には、コストダウンだけが彼らの本当の目的なのか尋ねます。もしそれだけが彼らの望みならば、おそらく別の方法で達成した方が楽だと私たちは考えているからです。しかし、コストを削減するだけでなく、イノベーションやコラボレーションを推進し、才能ある人材を惹きつけ、組織の敏捷性を高めるために、根本的な働き方の変革を追い求めるのであれば、アクティビティ・ベースド・ワーキングを採用すべきでしょう。

この選択は、私たちもワークプレイス環境においてのニーズに適切な形でサポートし、彼らの考え方や行動を変えることにもなります。

DFocus:一般的に人は変化に抵抗します。ワークプレイス戦略とチェンジマネジメントの専門家として、アクティビティ・ベースド・ワーキングへの移行をスムーズに進めるためにどのようなアドバイスをされますか?

Iolanda:そうですね。たしかに人は通常、変化に抵抗します。私たちはそのようにできています。同時に、その変化が「押し付けられた」場合、人はより強く変化に抵抗すると思います。したがって、私たちがファシリティマネジメントやワークプレイス戦略の専門家にアドバイスしたいのは、解決策を作ってそれを従業員に「売り込む」ことではなく、代わりに、変容を遂げることが何を意味するかを従業員も巻き込んで定義することです。(1つ目のポイント)

たまにクライアントから、デザインが完了したのでチェンジマネジメントの部分をサポートしてもらえるか?と聞かれることがあります。そのとき私は、その時点までのアイデア出しに他の人たちの関与がない状態で、その担当者自身が意思決定をほぼすべて1人で行っている場合、他の従業員やスタッフはそれを「押しつけ」と捉えてしまうためかなり困難なチャレンジになるだろうと思うのです。

さらに言うと、彼らを実際に「変化させる」ことは他の誰にもできません。刺激を与え、導き、サポートすることはできますが、変化自体は組織内で起こる必要があるのです。

まず、できるだけ早い段階ですべての従業員とチームを巻き込み、参加させることをおすすめします。デスクチェアの色に投票してもらうこと自体は重要ではなく、全体的なコンセプトの定義を一緒に行うことの方がよほど大切です。

なぜ私たちは変革を行うのか?なぜ変わる必要があるのか?ビジネス上で絶対に変わるべき・変えるべきことはあるか?そのメリットは何か?変革を通じて何かプラスになることはあるか?逆にマイナスな要素は何か?このような会話をできるだけ多くの代表者と非常に早い段階でしておくことで、最終的なコンセプトは大きく変わり、働き方に関する議論もまったく違ったものになります。たいていの場合、最初は「うーん、これは何だろう」「それはどうかな」といった反応でも、実際にプロジェクトに参加し始めると素晴らしいアイデアが出てきて、「働く」のコンセプト全体がより強固なものになります。

2つ目のポイントとして、地域によって、特に私たちが事業を展開している中国やシンガポール、日本といった国では、リーダーの賛同を得ることが重要になります。ワークプレイスや不動産のリーダーは、自分たちだけでこの変革を始めることはできませんし、そうすべきでもありません。この変革は、ビジネスリーダーの中にしっかりと根付いている必要があります。

ビジネスリーダーは、その意図がより多くの革新をもたらすことなのか、それとも製品の発売を早めることなのかを示すことができるでしょう。ファシリティマネージャーやワークプレイス戦略の専門家は、最初からビジネスリーダー、ピープルリーダー、テクノロジーリーダーと協力して「なぜ」を定義するべきだと思います。そうすれば、リーダーたちはあなたが推進しようとしている変革の大きな支持者となり、願わくばロールモデルとなって、そのような変革の成功率を大きく高めることができるのです。

3つ目のポイントは、複数の部署から選抜された様々な能力を持つプロジェクトチームを編成することです。ファシリティマネージャーや不動産部門のリーダーだけでなく、少なくとも人事部門やIT部門、理想的にはビジネス部門とも連携する必要があります。なぜなら、すべての人の働き方を変革することだからです。

最後に、地域の文化、国の文化と組織の文化の両方に非常に敏感である必要があると思います。私は、変革を推進するために「個人」や「個人の自律性」に重点を置いた、どちらかというと西洋的なアプローチをとる取り組みを多く見てきました。アジアで多くのプロジェクトに携わってきた私たちの経験では、チームや集団の価値観を中心とした変革の取り組みのほうが、はるかにうまく、スムーズに機能するはずです。

新しい「働き方」は、チームメンバーがお互いにサポートし合い、挑戦し合い、フィードバックし合うことで、「ものごとへの取り組み方」へと変わり、組織に定着していきます。個人中心のアプローチではなく、チームとしての取り組みとなるのです。

DFocus:成功したABW変革プロジェクトにはどのような共通点がありますか?

Iolanda:成功するABW移行と失敗するABW移行には、いくつかの相違点があると思います。その1つは、その地域の特定の組織に合った方式を持っているかどうかです。

グローバル企業では、アクティビティ・ベースド・ワーキングをグローバル全体で導入していくことがありますが、それ自体は悪いことではありません。問題は、そこで決まった枠組みの「デザインガイドライン」を1つ作成し、それをどこの地域にでも適用しようとする部分にあります。当然ですが、国ごとに現地で働くチームというものは違います。複数の拠点に同じチームがあったとしても、そのチームが行っている活動はまったく異なるのです。つまり、同じ公式をどの地域に採用しても、常にうまくいくとは限らないということです。

実際に、ガイドライン通りに作った物理的なスペースが現地チームの活動要件やニーズを満たせていないケースがあります。アクティビティ・ベースド・ワーキングの導入がうまくいく企業は、現地チームの活動を理解することに時間をかけています。

次に、もうひとつの大きな差別化要因は、エンパワーメントや選択についてただ語るだけでなく、実際にそれを実現し可能にしている点です。

例を挙げてみましょう。例えば、今あなたがコラボレーションを促進するための環境を整えています。しかし、私たち2人が交流しようとすると、通りすがりのマネージャーが私たちが一緒に座っているのを見て、「なんで机に向かわないんだ」「なんで仕事をしないんだ」なんてことを言います。「そんなことをして何になるんだ?」そのような言動は「選択肢があるとは言われたけど、実際には使えない」という感覚を社員に植え付けるだけです。会社や上司に信頼されておらず、本当の意味でのエンパワーメントが得られないのです。

本当の意味でアクティビティベースドの考え方を取り入れて成功している企業は、信頼感を持って社員に権限を与えている企業です。マネージャー、特に中間層のマネージャーは、社員に仕事を任せたり、自分の活動を決めたりすることにおいて彼らを信頼できると自信を持っています。また、彼らと従業員の間にはオープンな会話があります。

DFocus:「モビリティ」と「フレキシビリティ」はアクティビティ・ベースド・ワーキングの基本ですね。その点で、デジタルトランスフォーメーションはABWにどのように役立つとお考えですか?

Iolanda:まず、クライアントの組織内で何が起こっているのかを評価しようとするとき、テクノロジーが大きな役割を果たします。なぜなら、従業員が現在どのように働いているのかを知るためにはデータを収集する必要があり、よってデータ収集が肝になるからです。その方法はさまざまですが、センサー技術やIPベースのテクノロジーは豊富な情報量を提供してくれます。

このデータ収集の段階で同様に重要なことは、データを従業員と一緒に検証し、何が起こっているのかを完全に理解することです。もし従業員がどこで誰と働くかを本当に選択できるのであれば、一緒に働きたい人や、使いたいワークスペースの空き状況についてのデータをリアルタイムで入手できるはずです。

特に最近のコロナ禍の新しい世界では、多くの人が週に何日もリモートで仕事をしたいと考えています。ですから、人と会うのにオフィスに行くかどうかを判断する際に、テクノロジーは大きな役割を果たしていると思います。テクノロジーは、十分な情報に基づいた意思決定や決断をサポートしてくれるはずです。

最後に、コラボレーションツールについてですが、これは多くのコラボレーションを対面から他の手段へと移行させるものです。もちろん私たちは、同じ部屋で対面して議論することもできます。テクノロジーを使って、同じ時間に同じ会議に参加することもできますし、またある時間帯にその場にいる全員と仕事やコラボレーションをすることもできます。

個々人が都合の良いタイミングで仕事をする、いわゆる「非同期的」に仕事をするようになると、より一層テクノロジーに頼らなければならなくなります。このように、テクノロジーはアクティビティ・ベースド・ワーキングのすべての段階において、非常に重要な役割を果たしていると思います。

DFocus:新しいワークプレイスに移行する前に、適切なワークプレイスの設計とパフォーマンスの高いアクティビティベースドの働き方への移行において、オフィスの稼働率データは重要な役割を果たすと思いますか?

Iolanda:その通りです。最初の段階でデータを収集し、人々の行動を洞察し、どこで活動をしているのか、ワークプレイスがどのように利用されているのかを理解する必要があると思います。データを収集することは非常に重要ですが、そのデータをユーザーからの定性的なインプットと組み合わせることも重要です。この2つを組み合わせることで、非常に強力なスタートを切ることができると思います。

そして特定のデータには一貫性を持たせたいので、従業員への詳細な調査や稼働率の調査は常に行っています。DFocus社はセンサーを使った稼働率調査の専門家ですが、スペースがどのように使用されているか、アクティビティに関するデータを収集することは重要だと考えています。

DFocus:この数ヶ月の間に、COVID-19はすべてのもの、特に私たちの働き方を再構築しています。ABWは組織が危機を乗り越えるためにどのように役立つと思いますか?また、パンデミック後のワークプレイスのニューノーマルはどうなると思いますか?

Iolanda:「ニューノーマル」の形は1つではなく、複数の形があると思います。あるいは、度重なる「次への対応」を経て、そこから別のものに進化していくのかもしれません。パンデミックが起こる前から、どの組織にも独自の文化や仕事のやり方、独自の「ノーマル」がありました。みんな独特な感覚を持っていたのです。

今、私が思うに、企業は社員の声に注意を払うことが非常に重要です。自宅でやりたい活動、オフィスに行ってやりたい活動、どこか他の場所で仕事をしたい活動など、活動の観点で見ることが大切です。

一方で、事業戦略やワークプレイス戦略を議論し、再検討する時間をとることも重要だと思います。組織によっては、「○年後に不動産を半分にする」というように、すぐに結論を出してしまうところも見受けられます。すでに数年前から考えていた場合は理解できますが、2ヶ月や3ヶ月でそのような大きな決断をするのは少し急ぎすぎではないでしょうか。

また、今はまだ何も決められないという企業も見てきました。このような企業はどちらかというと、今は状況を冷静に見ながら頃合いをみて戦略を決めていこうというアプローチをとっています。このように、どのスペクトルもその組織にとっては「普通」なのです。これは、未知のものに対する私たちの反応の仕方が多様であるともいうことでもあります。

しかし将来的には、組織ごと、あるいはチームごとに、よりカスタマイズされたアプローチがとられるようになると思います。繰り返しになりますが、すべてはあなたが行っている活動に帰結します。すべての人に当てはまる公式はありません。だからこそ、統一された「ニューノーマル」は存在しないのだと思います。そして、ビジネス戦略に沿った正しい判断を下すためには、会社ごと、時にはチームごとに分析することが非常に重要です。

その結果、さまざまなモデルが生まれるでしょうが、一般的なデータによると、多くの国、特にアジアでは、人々は2~3日の間、リモートワークを選択できるようにしたいと考えているようです。ですから、アクティビティベースの考え方やアクティビティ・ベースド・ワーキングという概念は、大きな役割を果たすことができると思います。

そして何よりも、将来よりも今の方がさらに重要であると思います。チームや組織の活動を理解し始めると、より多くの情報に基づいてワークプレイスやサードスペースを設計することができ、また自宅でも特定の仕事の活動が行えるように可能な限り最善の環境を整えてあげることが可能になるからです。

DFocusについて

上海DFocus Intelligent Technology Co., Ltd.は、スマートスペースおよびスマートビルディング管理の世界的なパイオニアとして、世界中の企業にIoT、ビッグデータ、デジタルツイン、ソフトウェアをサービスとして提供する大手テクノロジー企業です。

上海に本社を置き、北京と深圳に支社を持つDFocusは、Microsoft、Huawei、China Merchants Bank、Alibaba、Porsche、Starbucks、BudweiserなどのFortune Global 500企業100社近くを含む200社以上の大企業にサービスを提供してきました。また、Microsoft、Huawei、Tongji University Infrastructure Management Institute、BOMA、CoreNetなどの有名な企業や組織と戦略的パートナーシップを構築し、業界標準やベストプラクティスの開発と推進を行っています。

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