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2025年3月25日、オランダ・アーネム市にあるヘルダーラント州庁舎「ハウス・デア・プロヴィンシェ」に、ワークプレイスの最新動向を共有するプロフェッショナルネットワーク「SmartWorkPlace」のメンバーを迎え、州・市区町村・民間組織から約75名が参加するセッションを開催しました。テーマはファシリティマネジメントにとどまらず、働き方そのものの変革に踏み込んだ内容です。
セッションでは、Veldhoen + CompanyのTim de Vos-Donkersと、ヘルダーラント州のプロジェクトリードであるFarlon Hubnerが、15年以上にわたる協働の歩みを紹介しました。この関係は、Veldhoen + Companyが州庁舎のABW導入を支援したことを契機に始まり、今日まで続いています。磨き上げられた成功事例を発表するのではなく、組織とともに成長し続けるワークプレイス環境をどう築いてきたか ── そのプロセスを共有しました。

Tim(Veldhoen + Company)とFarlon(ヘルダーラント州)によるプレゼンテーション
セッションを通じて浮かび上がった重要な気づきのひとつは、「ワークプレイスの問題は単独では起きない」ということです。スペースの占有行動、会議室の非効率な利用、特定エリアへの集中 ── こうした問題の多くは、長年かけて形成された働き方や行動パターンに起因しています。プロジェクト型のアプローチでこれらの解決を試みても、根本には届きません。
そこでヘルダーラント州が選んだのは、より広い視点からのアプローチでした。解決策に飛びつく前に、まず問題を正しく理解すること。定量・定性の両面からデータを収集した結果、従業員の働く環境に対する体験と、生産性・ウェルビーイングの評価の間に直接的な相関があることが明らかになりました。課題は、「不動産」という領域の問題をはるかに超えていたのです。
同時に、チームによって仕事の種類・成熟度・文脈が大きく異なることも明らかになりました。一律のアプローチが機能しない理由が、ここにあります。

ハウス・デア・プロヴィンシェ内の見学ツアー
5つのパイロットグループとの取り組みで採用されたのは、学習ベースのアプローチです。「測る・理解する・介入する・学ぶ」という短いサイクルを繰り返すことで、途中での軌道修正が可能になります。チームごとに結果は異なりましたが、変化は確かに現れました。集中しやすくなった、方向性が明確になった、チームの連携が深まった——そうした実感が、生産性とワーク環境への評価に反映されています。
ウェルビーイングの専門家であるAlexander Stolzeも、この視点を補強しました。活力とウェルビーイングは単発の施策ではなく、組織の働き方に構造として組み込まれるべきものだということです。ウォーク&トーク(歩きながらの対話)やチームのリズムを意図的に設計するといった、コストをかけずにできる取り組みが、実際に大きな違いを生みます。重要なのは、こうしたテーマを後付けではなく、意思決定の早い段階から組み込むことです。
ハウス・デア・プロヴィンシェの見学ツアーでは、統合的なアプローチの価値が空間として体感できました。2007年に国の文化財に指定されたこの建物は、物理的・組織的な側面をつなぐリノベーションを経ています。空間が望ましい行動を促し、利用データがさらなる改善につながる ── 建築とワークコンセプトが互いを強化し合う関係が、そこには体現されていました。
日本でも、オフィス移転や働き方改革のプロジェクトが一段落した後、「思ったほど使われていない」「行動が変わっていない」という声はよく聞かれます。空間を変えることと、組織の働き方を変えることは、別の問いです。そして後者は、プロジェクトとして完了するものではなく、組織の変化に合わせて更新し続けるプロセスとして設計される必要があります。
自社のワークコンセプトを、一度きりのプロジェクトとして捉えていますか?それとも、変化し続けるプロセスとして設計していますか?
同じような課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
