包括的なワークプレイス戦略は、建物環境(“bricks”)、デジタル(”bytes”)、そして行動・働き方(”behaviors”)という、相互に依存し合う3つの要素(”3つのB”)で成り立っています。これらはすべてワークプレイスの変革を成功させるための重要な要素ですが、必ずしも平等に重視されるわけではありません。ハイブリッドなワークプレイス戦略が新たに必要になったことで、効果的なワークプレイス戦略の策定にはどの部分に注目すべきかを見直す必要があります。

キーポイント

  • 包括的なワークプレイス戦略は、建物環境(”bricks”)、デジタルプラットフォーム(”bytes”)、文化的変化(”behaviors”)という相互依存性の高い要素で構成されている
  • ワークプレイスの変革は、建物環境、つまりオフィスの構築を間に合わせることに主眼が置かれ、チェンジマネジメントへの投資ニーズが過小評価される傾向にある(「建物ありき」のアプローチ)
  • ハイブリッド型のワークプレイス変革では、建物環境はもはや従業員にとって働く意味や帰属意識の主要な拠り所ではなくなる。そのため成功には「行動ありき」のアプローチが必要になる

Bricks, Bytes, Behaviour

ワークプレイス戦略構築において、「建物環境」「デジタル」が「行動」よりも優先されてきた理由

ワークプレイス戦略の実行は、主に建物環境とデジタルプラットフォームの提供・整備に集中しています。リーダーシップ開発を含む行動変革マネジメントのニーズは後回しにされ、入居間近や入居後の補足的な扱いとなっていました。

これは特段驚くべきことではないかと思います。どのようなプロジェクトにもある程度の妥協はつきもので、企業のワークプレイス変革プロジェクトにおいても、”bricks”(建物環境)”bytes”(デジタル)を優先して行動の要素が軽視される理由は容易に理解できます。その「なぜ」を一言で言えば、可視性です。建物環境とデジタルプラットフォームでは、投資とその効果・結果の間に明確なつながりが見えます。プロジェクト工程は複雑になるものの比較的簡単に特定でき、業者の入札、設計仕様書の構築、機器や家具の購入、オフィスの改装など、重要なタスクにかかるリードタイムを計算することができます。

一方、“behavior”(行動)の要素については、投資対効果のつながりが明確には見えません。行動変化への投資金額がその組織における測定可能な成果にどのように結びつくかを示すのは非常に困難です。それに加え、行動の変化は、建物環境ができあがりテクノロジーが導入されれば後からついてくるもの、と思われることもあります。間違いなく、オフィスデザインは私たちの行動様式に大きな役割を果たしますが、文化的な変化が本当に重要とされるワークプレイス変革において、それだけでは不十分なのです。

ワークプレイス戦略における「行動ありき」のアプローチ

このように”bricks”や”bytes”に過度に焦点を当てることは、ワークプレイス戦略に「建物ありき」のアプローチを取っていると言えます。それに取って代わるもうひとつの方法が、「行動ありき」のアプローチです。

ワークプレイス戦略に対する「行動ありき」のアプローチでは、まず「組織としてどこに向かいたいのか、そしてそれを達成するためにどのような働き方が役立つのか」を問いかけます。この質問に答えられれば、その後に建物環境やデジタルプラットフォームの質問に移ることになります。このアプローチはこれまでも重要でしたが、ハイブリッド・ワークへの注目が高まるにつれ、ワークプレイス変革の成功には必要不可欠なものとなってきました。

現在、多くの経営者がハイブリッドという言葉を口にしています。私たちが企業にハイブリッド・ワークで直面する課題や将来性について話をすると、「帰属意識はどうやって維持するのか?」「柔軟性を維持しながら、社員間交流や部門を超えたコラボレーションをどうやって促進するのか?」「社員の健康をどうやって担保するのか?」といった質問をされます。しかし、オフィススペースについて聞かれることは(少なくとも最初の方では)ほとんどありません。それはまったくもって正しいのです。何よりもまず、組織の目的、組織の目標、組織の願望についての質問がまず来るべきです。それをもって、物理的なスペースが彼らの将来ビジョン実現のためにどのように役立つか話せるようになります。

では、オフィスの目的は何なのか?

このようにハイブリッド・ワークを掘り下げていくと、ある1つの質問にたどり着きます。それは「オフィスは何のためにあるのか?」という問いです。この問いには、様々な答えや道筋があります。(詩人のアントニオ・マチャドに言わせれば、「旅人よ、道はない。歩くことで道はできる」ということでしょう。)

今日のハイブリッド・ワークにはさまざまな表現や解釈がありますが、それらに共通していることは「仕事の中心となる場所がオフィスではなくなった」ということです。したがって、仕事は必ずしも「行く場所」ではなくなります。オフィスはもはや人々を結びつける空間ではなく、働くということの主要な拠り所でもありません。オフィスは今でも非常に重要な存在であることは間違いありませんが、ハイブリッド・ワークにおいて、オフィスは以前のような基盤ではなくなるのです。そして、組織の目的行動様式、文化、リーダーシップは、従業員が勤務時間中常にオフィスにいることを前提としなくなったときでも、彼らをつなげる要因となるのです。

そのため、ワークプレイス戦略に「建物を用意することが先」というアプローチはもはや目的に適っていません。ハイブリッドなワークプレイスでは文化、リーダーシップ、目的のための新しいアンカーが必要になります。つながりや帰属意識を維持する役割を建物環境が担っていない中で、「組織とは何か」という感覚を生み出すためには新しい方法を見つけなければなりません。これを実現するには多くの方法がありますが、間違いなくワークプレイス戦略には「建物ありき」ではなく、「行動ありき」のアプローチが必要になります。

どこから始めると良いのか?

行動ありきのアプローチは、どこに目的意識を置き、それに対しどのようなアプローチをかけるかが重要になります。「どのようなスペースが必要か」を皮切りに、オフィスのレイアウトや家具の置き方、オンラインコラボレーションツールに真っ先に飛び込むのではなく、ディテールから一歩引いて次のような質問から戦略的にアプローチしてみてはいかがでしょうか。

  • 自社の戦略的目標は何か?
  • 現在の仕事のやり方は、その目標達成をサポートしているか、それとも阻害しているか?
  • 新しい働き方(そして新しいリーダーシップ)は、どのように私たちをサポートしてくれるだろうか?

聞くは易し、答えるは難し、といった質問でしょう。しかし、その答えは、より良いワークプレイスの変革と、ハイブリッド・ワークを通じた素晴らしい体験の実現につながるはずです。
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