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行動変容を中心とした"行動第一"の働き方戦略とは

2 11月 2023

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優れた働き方戦略には、物理的スペース(bricks)、チームでの業務やコミュニケーションを支えるテクノロジー(bytes)、そしてそれらを結びつける文化(behaviors)の"3B"の要素がバランスよく組み合わされています。

リモートワークやハイブリッドワークを中心とした働き方への移行に伴い、物理的なデザインに焦点を当てていたこれまでの傾向が変わりつつあります。組織やチームがお互いの”行動”をより重要視するようになったことから、オフィスなどの物理的空間を中心としたアプローチは、もはや働き方・ワークプレイス戦略の構築プロセスにおける圧倒的な優越性を失っています。

この記事では、この3つの要素のほか、従来の方法(物理的空間/bricksを中心としたアプローチ)から新しい方法(行動/behaviorsを中心としたアプローチ)に移行する背景や、ハイブリッドワーク戦略の構築に向けて行動中心のアプローチを採る際によく聞かれる質問について触れます。

 

Asset 9  KEY TAKEAWAYS

  • 働き方・ワークプレイス変革は適切なタイミングで建物環境を整備・提供することに焦点が置かれ、チェンジマネジメント分野は過小評価されている
  • ハイブリッドワークへの変革において、オフィスなど建物環境はもはや従業員の帰属意識や働く意義の中心地ではない。変革の実行には「行動優先」のアプローチが必要
  • ハイブリッドワークに基づいた環境であっても、オフィスは仕事の中心ではなく、働くこととは単に物理的に「オフィスにいること」にならない

3つの要素:
BRICKS, BYTES, AND BEHAVIOURS

働き方・ワークプレイス戦略は、これら3つの基本的要素の組み合わせです。そして、ハイブリッドワークにおいては「オフィスを中心とした共有スペース」という考え方から焦点を移す必要があります。そうすることで、これらの3つの要素をバランスよく組み合わせた戦略の構築が可能になります:

  1. 建物環境 ('Bricks'): 仕事が行われる物理的なスペース
  2. デジタルプラットフォーム ('Bytes'): コミュニケーションやコラボレーションを支えるテクノロジーインフラ
  3. 行動的な働き方 ('Behaviours'): 従業員間のつながりや関わり方をガイドする文化的・行動的要素

働き方・ワークプレイス変革の成功とは、各要素の役割を掘り下げながら定義し、新しい働き方戦略へのシフトを通じて継続的に見直しを行うことを意味します。しかし実際は、企業がこれらの要素のバランスを重視せず、働き方変革を新しいオフィスデザインの導入程度に止めてしまうことが多々あります。私たちが目指すべき目標は、この3つの要素をバランスよく組み合わせた戦略を開発することなのです。

 

働き方戦略を構築する8つのステップ

戦略の構築に向けた指針を見てみましょう。これは、組織が持つ目標と組織が実際に機能する社内構造を揃え、従業員の生産性とエンゲージメントの向上につなげるための設計図となります。

効果的な働き方・ワークプレイス戦略を構築する方法は次の通りです:

  1. 目標の定義:
    まず、最重要の目標を明確に定義します。働き方戦略を通じて何を達成したいのか?コラボレーションの促進やリモートワークへの対応、またはイノベーションの促進など、明確な目標は基盤をつくります。
  2. データの収集:
    現状の働き方やワークプレイスの使い方に関する分析を行います。例えば、従業員の活動パターンや好み、コミュニケーション方法などを測る働き方サーベイは強力なツールとなります。
  3. ステークホルダーの関与:
    経営層や部門長、従業員など、主要なステークホルダーを戦略開発プロセスに巻き込みます。彼らの意見はチームや個人に沿った戦略を形成する上で貴重なものです。
  4. ”行動優先”のアプローチの構築: 
    ハイブリッドワークが戦略の一部として含まれる場合、優先すべきは「行動優先」のアプローチです。従業員が適切にコラボレーションやコミュニケーションを行い、効果的な時間管理を行う方法について望ましい行動を定義します。
  5. 物理的環境(オフィス)の設計:
    専門家と協力し、特定の行動や活動パターンをサポートする物理的なワークスペースの設計を行います。これにはコラボレーションのためのオープンスペースや集中作業のための静かなゾーン、柔軟性のあるレイアウトなどが含まれます。デザインは組織の文化と価値観を反映・強化すべきものです。
  6. デジタルツールの活用:
    シームレスなコミュニケーションや情報共有、リモートでのコラボレーションをサポートするデジタルプラットフォームを適切に選び導入します。これらのツールが働き方戦略の目標と一致し、望ましい行動を可能にするものであることを確認しながら進めましょう。
  7. チェンジマネジメント計画の策定: 
    働き方戦略における行動分野に対処するための適切なチェンジマネジメント計画を立てます。新しい働き方のコンセプトやその実装に向けたアプローチ、またデジタルツールに関するトレーニングを従業員に対して行い、新しい働き方に適応するためのサポート環境を構築します。ここでは変革をリードできる"チェンジチャンピオン"の任命を行います。
  8. 効果測定と戦略の修正:
    戦略の効果を評価するためのKPIを設定します。従業員のエンゲージメントや生産性、コラボレーションなどの指標を測定します。フィードバックやデータの分析に基づいて定期的に計画を見直し修正をかけます。

ハイブリッドワークの時代において、物理的な環境('bricks')はもはや従業員の帰属意識や働く意味の主要源ではありません。これからの働き方変革の成功には「行動優先」のアプローチが必要なのです。

物理的環境 ('bricks')、 テクノロジー ('bytes')、そして文化・行動 ( 'behaviours') をシームレスに統合することの重要性について、V+Cスウェーデンのカントリーリードを務めるジョナス・テーランダーソンは三脚を例に説明しています:

 

"物理的な共有空間と豊富な選択肢を備えた新しい働き方では、成功に必要な3つの要素が存在します。それは、変革を具現化・モデル化するリーダーシップ、変革の目標に合わせて調整された物理的空間、そして望ましい変革に対する意欲に沿った行動分野でのサポート、の3つです。

私たちは一本足の椅子に座ることはできず、二本の足ではふらつき危険です。安定性を作り出すのは三本の足です。そして、その中でも行動のサポートに最も焦点を当てる必要があります。"

Jonas Thelandersson
Veldhoen + Company | Senior Consultant

 

私たちがサポートしてきたクライアントの事例をご覧ください

なぜ物理的環境とテクノロジーに重点が置かれてきたのか?

働き方やワークプレイスの変革で何かしら妥協が必要となる場合、行動的要素 ('behaviours') は物理的環境 ('bricks') やテクノロジー ('bytes') に優先され、省略の対象となります。これは変革の「可視性」に関係していて、要は物理的環境やテクノロジーは投資対効果が見えやすいのです。

オフィススペースやノートPCなど、すぐに結果が目に見える形であらわれるものへの投資は比較的容易です。特にオフィスデザインは、入札やデザイン仕様、家具や設備の購入、その配置、テクノロジーツールの導入など、タイムラインの計画が立てやすく、実行しやすいものです。

一方、行動に対する投資対効果や影響を評価することは難しく、1円単位でどのように組織への具体的効果として現れたのか示すことも簡単ではありません。

予算や時間に制約がある場合、プロジェクトによっては必要な物理的な環境やテクノロジーが提供されれば、行動変容も自然に実現すると思われるかもしれません。しかし、'bricks'や'bytes'だけでは働き方の変革が進まず、文化・行動的側面への配慮不足は総合的な投資の損失につながる可能性があります。

 

ハイブリッドワーク戦略への'行動優先'アプローチ

ハイブリッドワークを実現したいという考え方は、多くのリーダーの関心ごとです。新しい働き方によって起こるメリットやデメリットについて、多くの組織と議論してきた中で最もよく聞かれる質問は次の通りです:

  • 帰属意識を維持する方法は?
  • 従業員のつながりや部門間のコラボレーションを促進しながら働き方の柔軟性を維持する方法は?
  • 従業員のウェルビーイングを維持する方法とは?

このような議論は通常、物理的なオフィススペースの視点だけでは始まりません。私たちに来る問い合わせの多くは、こうした組織の目的や目標、ありたい姿などのテーマが中心です。組織目標や望ましい行動が確立されると、次の焦点はビジョンに沿った物理環境をイメージすることに移行し、オフィス空間の設計へと進みます。

V+Cオーストラリアのオーウェン・ヒギンズは、クライアントと議論してきたこの行動優先のアプローチについて次のように話します:

行動優先のアプローチは、次のような問いに対する答えを考える機会を与えてくれます:

一緒にどのような組織にしたいのか?それをどのように実現したいか?何を一緒に実現したいか?

このような質問に答えることで、組織内にある既存の課題と、目標に向かってとるべき行動が交わる部分を見つけることができます。 

Eoin Higgins
Veldhoen + Company | Senior Consultant

 

オフィスの存在意義とは

新しい働き方を模索する際、オフィスにはまだ存在意義があるかどうか疑問に思う方がいるかもしれません。

オフィスは依然としてハイブリッドワークにおける重要な要素ですが、その役割は進化しています。組織は柔軟性とのバランスを取り、対面での交流の利点を追求し、従業員の多様なニーズに対応することを目指しています。このような要素は、オフィスが個々の作業を完了する場所というよりも、人のつながりに焦点を当てたスペースになりつつあることを示しています。

ハイブリッドワーク戦略におけるオフィスが果たす一般的な役割には、以下が含まれます:

  • 自宅ではパフォーマンスを発揮できない人のための作業スペース
  • コミュニティのタッチポイントや安全性のあるスペース — 仕事の不確実性に対する感情の安定に役立つ
  • 「仕事」や「生活」といったオンオフの境界線の提供
  • 雑談やコラボレーション、コミュニティイベントなど、自然な出会いの場
  • 顧客とのミーティングやワークショップに適した環境
  • 企業カルチャーの物理的な表現
  • 新しく入社した従業員へのオンボーディングやトレーニングなどの機会提供

ハイブリッドワークでオフィスをどのように活用するかは、多くの要因に左右されます。組織活動のホームとしての役割は維持されていますが、かつてのような”常にいる場所”ではありません。

組織の目的、行動、文化、リーダーシップはどれも互いに結びつく要素です。物理環境の影響が弱まるにつれ、組織は文化、リーダーシップ、目的を中心に据えた新しいアンカー(軸となるもの)を採用する必要があり、それが「行動第一」の働き方戦略というわけです。

 

"行動第一"のアプローチを始めるには

ハイブリッドワークに伴う環境変化には、働き方に対するマインドセットの変革が必要です。特にハイブリッドワークにおける成功体験を得るためには、"行動第一"のアプローチの採用が重要です。しかし、どのように始めればよいでしょうか?

オフィスデザインやコラボレーションツールなど具体的な項目にすぐ取りかかる前に、ますは次の基本的な質問を考えることが大切です:

  • 戦略的な目標は何か?
  • 現状の働き方はそのゴールの達成の支えとなっいるか?もしくは妨げとなっているか?
  • どのように新しい働き方は、革新的なリーダーシップと結びついて、目標の達成をサポートできるか?
  • どのようなオフィスデザインがこのような進化する働き方に最適か?

このような質問は一見簡単に見えるかもしれませんが、実際に回答するのは非常に難しく複雑に感じられるかもしれません。働き方コンサルタントと共に方向性を探ることで、スムーズで持続可能な働き方変革が実現できます。

 

働き方戦略の構築に向けて適切なガイドやサポートを受ける

V+Cは、物理的なスペース('bricks')、デジタルツール('bytes')、文化的要素('behaviours')を統合した繊細なアプローチで優れた働き方戦略を構築します。戦略と目標を調整し「行動第一」のマインドセットを促進する、これがハイブリッドワークの環境で成功を収めるための鍵です。

組織や従業員の進化するニーズに対応する働き方・ワークプレイス戦略に向けて、生産性や従業員満足度、総合的な成功について私たちと一緒に議論しましょう。

私たちはお客様と協力し、ワーカーの働き方が豊かになるスペースと人のつながりを通じて、組織の一員として誇りを持って働くことができる独自の文化と環境の構築をサポートします。