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あなたの会社の「見えないつながり」を可視化 − Microsoftの組織分析ツールとは

7 3月 2025

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変化の激しい現代の職場環境において、従業員がどのようにコラボレーションを行っているかを把握することは、組織の成功にとって不可欠です。

Microsoftは、Veldhoen + CompanyのMarco van Gelder氏を迎え、『組織ネットワーク分析(ONA: Organization Network Analysis)』から、従業員のコラボレーションとイノベーションの密接な関係性について探るウェビナーを開催しました。

 

Asset 9  KEY TAKEAWAYS

  • Microsoft Viva Insights とは、OutlookやTeamsの匿名化されたMicrosoft 365データを活用し、従業員個人のコラボレーションの傾向やグループ内でのコラボレーションのあり方、そしてそれが組織全体に与える影響を分析するツール
  • 組織ネットワーク分析(ONA) とは、組織内のつながりや情報の流れを可視化し、コラボレーションの質や影響力を分析する手法。中心人物や孤立している人を特定し、組織の生産性や文化改善に役立つ
  • ソーシャルキャピタル(社会関係資本) とは、人々や組織の間の信頼、規範、ネットワークなどの社会的なつながりが持つ価値を指す。ソーシャルキャピタルに注目することで、新しい働き方(ハイブリッドワーク)を通じた従業員体験の向上といった課題の解決につながる

 

データがコラボレーションのダイナミクスを解き明かすデータの存在

そもそもMicrosoft Viva Insightsとは何でしょうか?Microsoft Viva Insightsは、Microsoft 365の利用データ(メール、チャット、会議など)を活用し、従業員の作業習慣や働き方を分析するツールです。個人やチームの作業パターン、会議の頻度、作業時間、休憩の取り方、ストレスレベルなどを可視化し、組織全体の生産性やエンゲージメント向上につながる提案を行います。特にリモートワークやハイブリッドワークの環境改善に効果的です。

そして、組織ネットワーク分析(ONA)は、組織内の人間関係や情報の流れ、コミュニケーションのパターンを分析する手法です。組織内で誰が中心的な情報源となり、誰が協力的な役割を果たしているか、または孤立しているかを可視化し、組織のパフォーマンスや文化の改善に役立ちます。

Viva Insightsと組織ネットワーク分析(ONA)は、どちらも組織の生産性、エンゲージメント、ウェルビーイングを向上させるツールですが、それぞれ異なる視点でデータを提供します。この2つのアプローチを活用することで、個人の生産性とネットワークの相関関係を理解し、チームのコラボレーション向上や組織全体のコミュニケーション改善につなげることができます

ウェビナーに登壇したスピーカーたちは、Viva Insightsを「データ分析を活用し、従業員のコラボレーションに関する本質的な問いに答えるためのツール」として紹介しました。その一例として挙げられたのが、メールのやりとりのタイミングに関する分析でした。最初のメール送信から最後の返信までの時間を解析することで、グループ内のコラボレーションの仕組みを把握し、組織全体への影響を明らかにすることができます。

ウェビナーを見逃した方へ

MicrosoftとV+Cの対談ウェビナーの録画をご覧ください。

*YouTubeに移動します。

Neha Shah氏が語る「ソーシャルキャピタル」と組織ネットワーク分析(ONA)

コロンビア大学の名誉教員であり、MicrosoftのキープレーヤーでもあるNeha Shah氏は、「ソーシャルキャピタル」という概念を紹介し、コラボレーションを通じて生まれる信頼と善意の重要性を強調しました。

特に組織ネットワーク分析(ONA)は、ソーシャルキャピタルの2つのタイプである「ボンディング(絆)」と「ブリッジング(橋渡し)」をサポートするといいます:

  • ボンディング(絆):同じグループ内で築かれる強いつながりのことを指し、信頼やコラボレーションを深めます。Neha氏によれば、「統合された絆(Integrated Ties)」を通じて、チーム内の一体感や価値観が確立されるといいます。
  • ブリッジング(橋渡し):異なるグループ間でつながりを築くことにより、コラボレーションスキルの向上やイノベーションの促進につながります。多様な「絆(ボンディング)」を育むことで、新たな視点や情報が共有され、組織の成功に貢献します。

ソーシャルキャピタルにおける「絆」は、組織内での協力体制を強化し、「橋渡し」は異なるグループ間の連携を生み出すことで、イノベーションを促進し、組織全体の成長を支える役割を果たします。


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組織ネットワーク分析 (ONA) の特設ページを公開しました

 

組織ネットワーク分析(ONA)が企業を支える8つの方法

組織ネットワーク分析(ONA)を活用することで、Viva Insightsは企業のパフォーマンスに影響を与える重要な課題に対応できます。具体的には、以下のような領域で活用されています:

  1. 定着率の向上: ONAを用いて組織内のソーシャルコネクションを分析することで、従業員の定着率に影響を与える要因を特定し、満足度やエンゲージメント向上に貢献します
  2. リーダーシップ開発: ONAは、組織内で影響力のあるリーダーや潜在的なメンターを特定し、リーダーシップ開発が必要な領域を明確にします。これにより、ターゲットを絞った育成プログラムの設計が可能になります
  3. 部門間のコラボレーション強化: ネットワーク構造を分析することで、異なるチーム間のコミュニケーションパターンを可視化し、情報共有を円滑にする戦略を支援します
  4. チェンジマネジメント: 組織の変革期において、ONAは既存のソーシャルネットワークをマッピングし、影響力のある人物や非公式なコミュニケーションチャネルを特定することで、効果的な変革管理を可能にします
  5. ワークスペース計画: コミュニケーションとコラボレーションのパターンを分析し、オフィスレイアウトやチームの配置を最適化することで、生産性向上をサポートします
  6. 営業生産性: 営業チーム内のコミュニケーションとコラボレーションのパターンを分析し、キープレーヤーを特定することで、営業プロセスの効率化を図ります
  7. イノベーション: ソーシャルキャピタルの「ブリッジング」を活用し、異なるグループ間のつながりを強化することで、新しいアイデアの交換を促進し、組織のイノベーション文化を育成します
  8. プロセス効率: ONAを活用することで、組織内のボトルネックを特定し、コミュニケーション経路を改善することで、業務の効率化とワークフローの最適化を実現します

働き方の改善はそれに至るまでの"文脈"が重要です。私たちは誰しもがパフォーマンスを向上させ、仕事の進め方を改善したいと考えています。しかし、そのために最も大切なのはエンゲージメントです。Marco van Gelder
Veldhoen + Company | R&D Lead

組織ネットワーク分析は、エンゲージメントや、ダイバーシティ&インクルージョン、新しい働き方、そして組織文化に焦点を当てることで、従業員体験の向上をサポートします。

 

組織ネットワーク分析がマネジメントに与える影響

組織ネットワーク分析(ONA)によって得られるインサイトは、マネジメント行動への影響、新入社員の組織適応スピード、そして組織文化や従業員の意識の理解を深めるのに役立ちます。

Marcoは、多様な働き方の重要性を強調し、「単一の所有者」という考え方を否定しています。彼は生産性とエンゲージメントには直接的な相関関係があると述べ、パフォーマンスはこの2つの要素の産物であると指摘しています。

また、彼が紹介したクライアント事例では、新入社員がコミュニティにどのように溶け込んでいくかを理解する上で、時系列分析が重要な役割を果たすことが示されています。

この傾向は、金融、バイオテクノロジー、自動車業界など、働き方を通じてイノベーションの最前線を維持したいと考えるあらゆる業界に共通しています。

 

データの力が「未来の働き方」を決める

Viva InsightsとONAを活用した従業員のコラボレーション分析、そしてMarcoをはじめとする他の専門家の知見を通じて、Viva Insightsの匿名化データを活用することが組織の成功において変革をもたらす可能性があることが明らかになっています。

さらに、偶発的な出会い(カジュアルな交流)がイノベーションを促進することも示唆されており、コラボレーションを強化したい企業にとって貴重な示唆を提供しています。

職場環境やワークプレイスが進化し続ける中、こうしたデータ活用は、生産性の最適化、イノベーションの促進、従業員体験の向上を目指すあらゆる業界の企業にとって重要な指針となります。

Veldhoen + Companyの専門コンサルタントチームが、その道のりをサポートします。

私たちはお客様と協力し、ワーカーの働き方が豊かになるスペースと人のつながりを通じて、組織の一員として誇りを持って働くことができる独自の文化と環境の構築をサポートします。